2020-06-06 湿った夏 閉じ込めた窓が呼吸を諦めるように 怠惰に、消極的に空気を澱ませた。 羽の広げ方を忘れた蝉は、 生まれ落ちたときに死んだほうがマシだったか。 雪に裸足を埋めて動けなくなったとしたら それは自業自得だろうか。 湿度に窒息する。汗をかくほどに凍えていく。凍傷は夏の暑さでは治せない。 むせ返るような熱気の中で、口を開いて、また閉じれば、なにかがただ声もなく死んだ。確かに死んだのだ。