不思議な場所でした。
美術館内は撮影不可ですが、入ってすぐの天井は布製なのか花が開くようなかたちになっていて綺麗。
建物の廊下は明るい場所と暗い場所がどちらもあって、部屋の形はひとつひとつ違っており、どこにいても何か目新しい。
浮世離れ、という言葉の似合う場所だと感じました。
駅からシャトルバスで30分も未知の場所を走ってくるから余計そう感じるのかもしれない。生活感がない、というのか、目立って特別な場所ではないはずなのに日常から地続きと感じられない、というか。
庭園は、広くて、静かで、美しいけど、色が少ない。
天国でも地獄でもない死後の世界があるとしたらこんな感じかも、とふと思いました。スコンと晴れているのに風が冷たくて。
子供たちが笑って遊んでいたのがよかったな。
心をリセットしたい時はこんな場所でぼんやり佇むのが良いのでしょう。
企画展では西川勝人氏の作品が展示されていましたが、非常に興味深かったのがこれ。
https://x.com/kawamura_dic/status/1869333858413650328?s=46&t=-TtJ_0fPsu7L_-ToMyfKLQ
床に敷き詰められた白百合の花弁は、9月半ばに展示が始まってから一度も入れ替えられていないとのこと。不可逆に変化していくところも含めて「現代美術」と。なるほどむずかし。
近づくと匂いがするんですよ。花の、端的に言えば腐った匂いが。百合そのものの香りも混じりながら。
不快とは思わなかったけど独特の匂いに、天使の死体はこんな匂いがするんじゃないか、と空想しました。
生き物だけど、動物じゃない、まして人間じゃない。最初は白かったものが腐って黄色く、茶色く、変わっていく。
良かったけど気持ち悪くて、不気味だけど嫌いじゃない、そんな作品でした。