哀しみをなんとしょう。
淋しみをなんとしょう。
あなたから流れてくる、流れてくる、それを両《ふた》つのてのひらで受け止めきれず、
僕は立ち尽くすよりほかなかった。
3月の雪の日。遠去かる春の訪れ。
この哀しみをなんとしょう。
冷たくすきとおった雪解け水に焦がれ、
愛し、
おそれ、
僕は3月の雪を見上げている。
春が来たら御別れです。御別れです。僕は、さよならを言いに来たんだ。
遠去かる春の訪れ。立ち尽くす僕に雪は降り積む。
哀しみをなんとしょう。
淋しみをなんとしょう。