寂しがり

アイコンは▼http://nanos.jp/ganador/▼伝染病様より。ありがとうございます。

湿った夏

閉じ込めた窓が呼吸を諦めるように 怠惰に、消極的に空気を澱ませた。 羽の広げ方を忘れた蝉は、 生まれ落ちたときに死んだほうがマシだったか。 雪に裸足を埋めて動けなくなったとしたら それは自業自得だろうか。 湿度に窒息する。汗をかくほどに凍えてい…

ガラスの肺腑

眠っていてもあなたの背骨が息をする 皮膚の内側、骨の向こう側、肺にまで指先が突き抜けて あなたの呼吸に触れたらいいのに。

サンダル

自分の足を見て悲しくなった、ああどこにも行けない足なんだなと思った

腰から尻尾が生えてくる ズルズルシッポが生えてくる わたしにしっぽが生えてくる 爬虫類のような尻尾 ヒタヒタとしめったシッポ ながくてぞるりとしたしっぽ 人間なんてやめちまえ

世界征服

世界征服をするにはまず目的を決めなければならないらしい。 欲しいものはなんですか? 手に入りにくいなら世界を征服してしまいましょう。 ふたりぽっちの世界を征服したら、何が手に入るでしょう? 君のさよならさえ奪えない僕に。

TRPG雑記

TRPG関連のメモはこの記事にまとめて行こうと思います システムはマギカロギア・クトゥルフ。シノビガミも導入済み未プレイ。 【マギカロギア】 ☆クリア済み くじらが泳ぐ街(香神 硝) 天使の晩餐(クロエ・ミオゾティス) 鏡に映る夢(香神 珪) 勿忘草の…

朝6時の地下鉄

朝6時の地下鉄には死体が乗っている 死体みたいな顔をして通勤する人たちが乗っている 300年前の人が見たら仰天するだろう 鉄の箱が走っていることより、 誰もいないのに戸が開くことより、 生きた人間が死体みたいな顔をして みな一様にむっつり黙り込んで…

しゅわしゅわのあれ

つまさきが氷のように冷たくて 今ならなれる くりいむそーだ

がらくた

君にとって君は生きているがらくた どんな思いでその言葉を言ったんだろう 私にとっては宝物だよ 忘れないでね

一人称

きみがきみであるということは、 僕が「愛してる」と言ったときそれがちゃんときみに伝わるということだ。 誰かの太陽になるためには、この身を焦がさなくてはならなくて、 僕にそれだけの燃料があるとは、とても思えないので。 伸び上がり、空中で三角形に…

ベッド

君の寂しい足の裏を撫でる。 指先が土踏まずをなぞるときゅうと足が引っ込んだ。 君の寂しい足の裏を撫でる。 さよならもこんなふうに伝えられたら良かったのにね。

恋人

‪あなたとは血液型も星座も干支も性別も染色体も何一つ同じじゃないけどキスしたら唾液の交換ができるのはすごいことだと思いました‬

砂時計

私を、石にして、宝石ほどに美しくはなれないだろうけど、それを細かく、砕いて、砕いて、粉々になったら、砂時計職人に渡してください。砂時計職人は、一秒の何万分の一さえ誤差のないよう、粉々の私を、砂時計に詰めてくれます。完成したそれで時間をはか…

だいじょうぶ

だいじょうぶ、 (まだ首を吊らないだけの理性はギリギリあるから、) だいじょうぶ。

私もう眠りたいのです、 ゼリーのように、つぼみのように、水底のように、あなたのように

あしたはまださき

思想のようなもの、道徳のようなもの、愛情のようなもの、生命のようなもの、 単語だけあって、わたしたちには理解のできないもの。 本当はそんなものどこにもなくて、わたしたちは、空っぽのコップから「美味しい」と水を飲んでいる。 たとえば、きみが死ぬ…

短歌

ひとり旅ばっかり上手になっていく なくなる支度をしてるみたいに

 字書きが自分の好きな言葉を五十音順にひとつずつ並べて自分脳内辞典を作る

あ あなた/目の前にいる人。あるいは、どこにもいない人。 い 愛しい/大きな感情のラッピング。 う 浮世離れ/数ミリから数センチ、地面から浮いていること。 え 靨/きみのかわいいところ。 お おやつ/午後三時頃に食べる間食。甘いもの全般を指す場合も…

うまくがんばれない

スイカみたいに頭をこなごなにしてしまいたい、いつだって、悩みの根源はきっと頭部にある、脳みそが働かなければ、こんなふうに悩むことはなかっただろう、わたしはわたしの頭をこなごなに砕く、砕いて、砕いて、かけらを見ながら泣くのだ。

寒空に漕ぎ出でてみれば時忘れ 「哲学してた」夜のブランコ

布団に入れてください。 あ、一緒に眠ってくれなくて、良いのです。 私きっと、まだとうぶん眠れそうにないから。 あなたの眠る布団の、隅のほんのすこうし、分けてくれればそれで十分です。 おやすみなさい、夜。 朝になる頃には、ひとりぽっち。

いきている

生きることは自殺だ。 毎日毎日、昨日の嫌いな私を殺して、明日の優しい私を生む。 脱皮なんてやわらかなものじゃない。 私の皮の下に、薄い皮の下に、まっさらできれいな私が眠っていたらどんなに良かったことか。 「あなたも違う」ってナイフを刺す時、昨…

信仰

神様に頭が一つあるのも、胴体が一つあるのも、手が二本あるのも、足が二本あるのも、目が二個あるのも、鼻が一個あるのも、口が一個あるのも、耳が二個あるのも、美しくて憎らしくて畏れ多くて愛おしいのも、全部、神様が君を元にデザインされているからだ。

ガーベラ

ぼくたちはいつでも、ないものねだりのドーナツホール症候群だった。 寂しさなんてうそっぱち。ただ、ないものねだりなだけ。満たされた場所に、自分で穴を作る。 ガーベラは可愛い。生花なのにつくりものみたいな色。つくりものみたいないきものは、なんだ…

こわい

先端を切り落としたい 手首や足首や首を切り落としたい 理由なんかない、不要なんじゃない、ただ切り落としたい ギロチンの刃のようなものが落ちてくる 落ちてくる、落ちて、 焼ける痛みは知らないままでいたい わたし狂ってしまうのかしら

きょうの涙は何グラム

きょうの涙は何グラム。 秤にかけて計りましょう。 きょうの涙は何グラム。 昨日にくらべ、増えたか、減ったか、 きょうの涙は何グラム。 涙の重さは、なんの重さか、 形を成して手放せた あなたの内の 悲しみの 青さの重み、 きょうの涙は何グラム。

"女生徒"

この歳になって"女生徒"を読んでたよりなく泣いてしまった私は今もまだ女生徒なのですね

彫刻刀

心臓を彫刻刀で削ると ちょうどざくろのように赤い粒が零れだした これが私の心か なるほど、もろく小さな人格の集合だ 私は熱心に心臓を彫刻刀で削った いつか美しいかたちが現れるのではないかと 削っても削っても、出てくるのはみな歪な丸い粒ばかりだ や…

霧雨

傘をささずに歩み出でれば 頬が濡れ、髪が濡れ、爪先濡れる 目に雨粒見えねども 霧雨降るなりけり 傘差せば雨音微かに 未だ見えぬ雨粒に輪郭を与う 子らの傘列をなし 霧雨止まぬなりけり

ゆきどけ

哀しみをなんとしょう。 淋しみをなんとしょう。 あなたから流れてくる、流れてくる、それを両《ふた》つのてのひらで受け止めきれず、 僕は立ち尽くすよりほかなかった。 3月の雪の日。遠去かる春の訪れ。 この哀しみをなんとしょう。 冷たくすきとおった雪…